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蓄財サボテン
失敗しながらの蓄財日記
20年の資産形成公開日:2026-04-26更新日:2026-09-11

特定口座のVYMを売って新NISAへ|移すか迷った我が家の判断と手順

特定口座の商品は、NISAへ直接移すことができません。売って買い直す必要があります。特定口座からNISAに移すべきか迷う方へ、米国高配当ETF「VYM」を約300万円分売り、NISA枠に植え替えた我が家の判断軸と手順を公開。種銭づくりの計画から、想定外の値上がり、税金を払って売った理由まで書きます。

目次

特定口座に持っている商品を、NISAに移したい。そう考えたことはないでしょうか。

我が家もそうでした。新NISAが始まったとき、特定口座では米国高配当ETFの「VYM」を運用していました。その後、そのVYMを段階的に売って、2026年のNISA枠に移しています。売った額は約300万円分です。

この記事は、その判断の記録です。移すべきだと勧めるものではありません。我が家がどこを見て決めたか、実際にどういう順番で動いたかを、反省も含めて書きます。

先に結論

  • 特定口座からNISAへは直接移せない。売って買い直すしかない
  • 我が家は税金を払ってでも移したが、これは「移すべき」という話ではない
  • 判断が分かれるのは、含み益の大きさと、投資方針が変わったかどうか

特定口座からNISAへは、直接移せない

まず、制度の話を一つだけ。

特定口座で持っている投資信託やETFを、そのままNISA口座に動かすことはできません。移したいなら、いったん売って、あらためてNISAで買い直すことになります。

売るときに確認したいのが、売却代金と売却益の違いです。課税対象になるのは、売却代金から取得費と売却手数料等を差し引いた利益で、上場株式等の譲渡益には原則20.315%の税率が適用されます。売却代金全体に税金がかかるわけではありません。利益が出ていない場合や、損益通算・繰越控除が適用される場合もあるため、「売ってNISAで買い直せば必ず納税が発生する」とは言えません。

我が家のように含み益がある場合は、売却時の税負担を受け入れてNISAで買い直すか、特定口座で持ち続けるかを考えることになります。税金だけでなく、NISAの空き枠、使う時期、商品を持つ目的も判断材料です。

制度の確認先:国税庁「譲渡した株式等の取得費」国税庁「株式等を譲渡したときの課税」SBI証券「一般口座や特定口座に保有している株式や投資信託をNISA口座へ移管することはできますか?」

そもそも、なぜ特定口座でVYMを買ったのか

話は新NISAが始まった頃にさかのぼります。

当時、我が家の手元には、新NISA満額の3年分に近い現金がありました。新NISAには年間投資枠の上限があります。1年に入れられるのは360万円までです。「お金はあるけれど、今年の枠はもう使い切った」という状態が3年続く見込みでした。

課題は、枠から溢れる現金をどこに置くかでした。

現金のまま寝かせるのは避けたかった。株式市場が長期で右肩上がりに成長するという前提に立つなら、現金で持っている期間は市場の成長を取り損なっている期間になるからです。これを機会損失と言います。枠から溢れる現金を3年間寝かせるのは、3年分の機会損失を抱えるのと同じでした。

枠の制約があるなら、特定口座でも投資した方がトータルでは得になりやすい。そう判断しました。

そこで選んだのがVYM(バンガード・米国高配当株式ETF)です。米国の高配当株およそ400銘柄に分散するETFで、配当利回りはおおむね年3%前後。経費率は0.06%と、インデックスファンド並みに低い水準です。金融・エネルギー・ヘルスケアなど、米国の優良企業に幅広く分散されています。

「分散が効いている」「配当も出る」「元本も成長余地がある」。この3つを兼ね備えたETFとして、目的にちょうどいいと感じました。

我が家が立てた計画はこうです。まず、NISA枠を超える資金でVYMを買う。VYMから出た配当は毎年NISAに移して、インデックスファンドを買い増す。VYM本体はそのまま保有して、長期で元本も育てる。

いわば「特定口座を非課税枠の供給源にする」という発想でした。配当は毎年出るので、NISAの非課税運用を継続的に支えられると考えたのです。

結果:想定外に元本が大きく値上がりした

数年運用してみて、想定とは少し違うことが起きました。

毎年安定した配当が出て、それをNISAに移してインデックスを買い増せたところまでは計画通りです。想定以上だったのは、VYMの元本そのものが大きく値上がりしたことでした。

これ自体は嬉しい誤算です。ただ、当時の我が家は、値上がり後の評価額に対して受け取れる配当の割合が気になるようになりました。

ここでは、年間配当を購入時の取得額で割る「取得額基準の利回り」と、現在の評価額で割る「時価基準の利回り」を分けます。以下は実際の取引記録ではなく、受取配当・保有株数・為替を一定とした説明用の仮例です。株価が上がっても、それだけで受取配当そのものが減るわけではありません。

タイミング 株価 評価額 受取配当 評価額に対する利回り
購入時 100ドル 100万円 3万円 3.0%
値上がり後 150ドル 150万円 3万円 2.0%

この例では、取得額100万円に対する利回りは値上がり後も3%で、評価額150万円に対する利回りが2%になります。実際の配当額や為替は変動しますし、時価基準の利回りが下がっただけで運用全体が悪化したとも言えません。

当時はこの評価額に対する割合を見て、同じ額を別の運用に回した方が目的に合うのではないか、と考えました。

特に、新NISAの非課税枠が空いていました。そこにインデックスファンドを入れた方が長期では有利だと考えると、VYMを持ち続けるメリットは相対的に薄れていきました。

我が家が「売ってNISAへ移す」と決めた4つの判断軸

最終的に、VYMを売却して、その資金でNISA枠のインデックスファンドを買い直しました。

そのとき見ていたのは、次の4点です。一般的な基準ではなく、我が家がこの記事の状況で実際に考えたことを整理したものです。

見たところ 我が家の状態 移すと決めた理由
①評価額に対する配当利回り 時価基準の配当の割合が気になっていた 配当額の減少ではなく、資金の使い道を見直すきっかけになった
②高配当を持つ目的が残っているか 方針がインデックス中心に変わっていた 高配当を持ち続ける理由そのものが薄れた
③売却時の税負担を受け入れられるか 売却益が大きく、税引き後の手取りも十分だと考えた NISAでの今後の運用を重視した。ただし、手取り額の大きさだけでは税負担を取り返せるとは判断できない
④NISAに空き枠があるか 翌年の年間枠がまるごと空いていた 売った資金をすぐ非課税の器に入れられる状態だった

この4つが全部そろっていたので、我が家は動きました。逆に言えば、どれか一つでも欠けていたら、結論は変わっていたと思います。

たとえば他の条件が同じなら、含み益が小さいほど売却時の課税負担も小さくなります。ただし、それだけで移すべきかは決まりません。配当を生活費に充てる目的があるなら②の答えは変わりますし、NISAの空き枠がなければ、売ってもすぐにはNISAで買い直せません。

なので「特定口座からNISAへ移すべき」とは書きません。含み益の大きさ、かかる税金、その家庭の投資方針で、答えは変わります。個別の税額や損得の計算は、我が家では扱えない領域です。迷う場合は税務署や専門家に確認してください。

実際にやった手順|段階的に売って、年初一括で買い直した

順番としては、次のように動きました。

  1. 先に行き先を決めた。 翌年のNISA枠にいくら入れるかを決めてから、必要な売却額を逆算しました。
  2. 一度に全部売らなかった。 2025年の中盤から2026年の初めにかけて、段階的に売っています。売った額は合計で約300万円分でした。
  3. 売った資金は使わずに取っておいた。 年が明けるまで、次の買い付けのために残しました。
  4. 年明けに、年初一括でNISAへ入れた。 つみたて投資枠に120万円、成長投資枠に240万円。買ったのはどちらもS&P500です。

年初一括にしたのは、市場に資金が滞在する時間を長くしたかったからです。長期で見れば右肩上がりという前提に立つなら、待つほど機会損失になります。

段階的に売ったのは、売るタイミングを一点に賭けたくなかったからです。まとめて売れば、その日の株価がそのまま結果になります。分けて売れば、良くも悪くも平均に近づきます。

3年間で、NISAの原資は変わった

ここは誤解されやすいところなので、はっきり書いておきます。

新NISAが始まってからの3年間、我が家は毎年360万円をNISAに入れてきました。ただし、そのお金の出どころは年によって違います。

NISAに入れた額 原資
2024年(1年目) 360万円 独身時代からの現金預金
2025年(2年目) 360万円 独身時代からの現金預金
2026年(3年目) 360万円 特定口座からの植え替え(主にVYMの売却・約300万円)

つまり、毎月の給料から360万円を捻出しているわけではありません。1年目と2年目は独身時代に貯めた現金、3年目は特定口座からの植え替えです。どちらも、過去に積み上げたものを器に入れ直しただけです。

この3年で、過去の蓄積はおおむね使い切りました。ここから先は、毎月の収支の中から積み立てていくことになります。

この植え替えは、20年計画の3年目の一手

我が家は今、20年後に家を現金一括で買うことを目標にしています。今回の植え替えは、その計画の3年目にあたる動きでした。

計画上、これは一度きりの資金移動です。すでに持っている資産をより有利な器に移しただけなので、来年も同じ額を入れられるわけではありません。ここを「毎年360万円入れられる家計」と読まれると、実態からずれてしまいます。

計画の全体像と、毎年の進捗はこちらにまとめています(20年後に6,000万円の家を現金一括で買う計画)。

今振り返って「少し筋が悪かった」と思う点

結果としては良かったのですが、戦略としては少し筋が悪かったと思っています。反省は3つあります。

1つ目は、配当にも税金がかかることです。VYMのような米国ETFでは米国での源泉徴収があり、課税口座ではその後に日本でも課税されるため、「約20%だけ」とは整理できません。外国税額控除などで最終的な負担も変わります。配当を受け取って再投資する場合は、この負担も比較する必要がありました(源泉徴収率は楽天証券の案内、控除の仕組みは国税庁「居住者に係る外国税額控除」)。

2つ目は、売却時の税金です。最終的に売ることになり、評価益にも約20%の税金がかかりました。ただし、売却時期を自分で選べる点はVYMでもインデックスファンドでも同じです。最初から特定口座でインデックスファンドを買っていても、NISAで買い直すために売って利益が出れば、課税は残ります。

3つ目は、結果論だということです。「VYMでよかった」とは言えますが、それは必然ではありませんでした。VYMの元本が大きく値上がりしたのは、米国市場全体が好調だったからです。最初から読めたことではありません。S&P500やオルカンでも同じような上昇は得られたはずで、VYMである必然性は実はそこまで強くありませんでした。

もし今同じ状況なら、どうするか

新NISA開始時に戻れるなら、我が家は特定口座でもオルカンやS&P500のインデックスファンドを買います。

理由は3つです。分配金を出さずに運用する投資信託なら、投資家が分配金を受け取る時点の課税を先送りできる。必要な分だけ売る時期を決められる。NISAに移すときも、その分だけ売って買い直せる。我が家の目的にはこちらの方が合うと考えています。ただし、ファンド内部の外国税などまでなくなるわけではなく、特定口座で売却益が出た場合の課税も残ります。

もしどうしても高配当ETFが欲しいなら、売却する前提では持たない方がいいと感じています。配当をそのまま生活の足しにする、という割り切った使い方なら、税金を払いながらでも持ち続ける価値があります。

日本株の高配当株にも取り組んだ記録は、楽天経済圏とSBI経済圏の使い分けに残しています。その後、住宅購入の見送りに伴って積み増しをやめ、既存分は保有を続ける方針を高配当株の積み増しをやめた話にまとめました。過去に増やしていた時期と、その後の方針を分けて読んでいただければと思います。

種銭づくりで意識したい3つのポイント

我が家の経験から、これから新NISAの種銭を作る方に伝えたいことを3つだけ。

1つ目、NISAで買うまでの待機資金を、どこまで値下がりのリスクにさらせるか考えること。我が家は機会損失を避けたくて投資しましたが、3年後に必ず使うお金なら、売りたい時期に値下がりしている可能性もあります。生活防衛資金や近く使う資金は、長期運用できるお金と分けて考える必要があります。

2つ目、商品選びは税効率を最優先にすること。配当が出るか出ないか、内部再投資か分配型か。特定口座で運用するなら、配当を出さない投資信託が税制上は有利になりやすいです。高配当ETFは魅力的ですが、課税口座で持つと利回りが目減りします。

3つ目、NISAで買い直す場合の手順を先に考えること。枠が空いたからといって必ず売る必要はありません。保有を続ける選択肢と比べ、売る額、税負担、買い直す時期を確認しておくと、判断しやすくなります。

まとめ|「移すべきか」の答えは家庭ごとに違う

特定口座からNISAへは直接移せません。移す場合は売って買い直しますが、課税対象は売却代金全体ではなく、取得費・手数料等を引いた利益です。税率や損益通算等の条件も含めて確認します。

我が家は、時価基準の配当利回りへの疑問・方針の変更・売却時の税負担を受け入れる判断・空いているNISA枠、という4つがそろったので動きました。売ったのはVYMで約300万円分、それが2026年のNISA枠360万円の主な原資になっています。

ただ、これは「移すべき」という話ではありません。含み益の大きさも、投資の目的も、家庭によって違います。同じ条件がそろわないなら、答えは変わって当然だと思っています。

我が家自身の反省も残しておきます。特定口座では、最初から分配金を出さずに運用する投資信託を選ぶ方が、目的に合っていたと感じています。ただし、その場合でもNISAへ移すなら売却と買い直しが必要で、売却益への課税もなくなりません。

「特定口座は損だから現金で持つ」も、「とりあえず何でも投資に回す」も、どちらも極端だと思います。税効率の良い商品で、特定口座でも長期運用する。これが、非課税枠を活かしつつ機会損失を減らす現実解だと感じています。

NISA枠の使い方を先に整理したい方は、新NISAで何を買うべきかから読むと全体像がつかみやすいです。証券口座を分けるか迷う場合は、SBI証券と楽天証券を使い分ける理由も参考にしてください。


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サボテン|蓄財サボテン𝕏 @chikuzaisaboten

中小企業のブルーカラー会社員。妻・娘との3人暮らし。特別な才能も高収入もないけれど、7年間地道に投資を続けて総資産約2,000万円を達成。世帯年収約800万円・共働き。いまは賃貸のまま、20年後の現金一括購入を目指しています。家計管理・NISA・iDeCo・住宅資金づくりをリアルタイムで発信しています。

※ 本記事は個人の体験・見解に基づくものです。特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資の判断はご自身の責任のもとで行ってください。
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