新NISAの種銭をVYMで増やした話|特定口座のETFで作った非課税枠の原資
新NISAの非課税枠を最大限使うため、年間枠から溢れる手元資金を特定口座のVYM(米国高配当ETF)で運用した実体験を公開。配当金をNISAに再投資する計画から、想定外の元本値上がり、税金を払って売却→インデックスファンドに買い替えるまで、種銭づくりの一連の流れを赤裸々にお伝えします。
「新NISAの非課税枠を全部使いたいけど、現金で持っているお金が眠っているのがもったいない」
新NISAが始まった2024年、そう感じていた方は多いと思います。 我が家もまさにその状態で、3年分の満額(つみたて投資枠+成長投資枠=年360万×3)に近い現金が手元にありました。
そのお金をただ現金で寝かせておくのは機会損失だと判断して、ある作戦を実行しました。
- 年間枠から溢れる分は 特定口座でVYM(米国高配当ETF)を買う
- 配当金を NISAに再投資する
結果として、想定よりも大きな利益が出て、特定口座の元本+利益でNISA枠を1年分埋められるところまで到達しました。
この記事では、その種銭づくりの戦略・実行・結果と、**「今振り返ると少し筋が悪かった」**という反省も含めて、正直にお伝えします。
状況の前提
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイミング | 2024年・新NISA開始時 |
| 手元資金 | 新NISA満額×3年分に近い現金 |
| 投資方針 | 長期インデックス投資(オルカン中心) |
| 課題 | 年間360万円の枠を超える資金の置き場所 |
新NISAは1年間に投資できる金額の上限(年間投資枠:年360万円)が決まっています。 **「お金はあるけど、今年は枠を使い切った」**という状態が3年続く想定でした。
なぜ「現金で持つ」ではダメなのか
長期投資の世界では、一括投資が分散投資より利益が出やすいというデータがあります。
理由はシンプルで、
- 株式市場は長期で見れば右肩上がりに成長する
- 現金で持っている期間 = 市場の成長を取り損なっている期間
- 後から少しずつ入れるより、最初に全部入れた方が運用期間が長くなる
これを 「機会損失」 と言います。
新NISAの枠から溢れる現金を3年間ただ寝かせるのは、3年分の機会損失を抱えるのと同じです。 「枠の制約があるなら、特定口座(課税口座)でも投資した方がトータルでは得になる」——そう判断しました。
選んだのはVYM(米国高配当ETF)
特定口座で何を買うかを考えたとき、選んだのが VYM(バンガード・米国高配当株式ETF) でした。
VYMとは
- 米国の高配当株 約400銘柄に分散投資する ETF
- 配当利回りはおおむね 年3%前後
- 経費率は 0.06%(インデックスファンド並みに低い)
- 米国の優良企業(金融・エネルギー・ヘルスケアなど)に幅広く分散
「分散が効いていて」「配当も出る」「元本も成長余地がある」3つを兼ね備えたETFとして、この目的にちょうどいいと感じました。
戦略:「VYMの配当をNISAに再投資する」
私が立てた計画はこうでした。
- 特定口座でVYMを購入(NISA枠を超える資金)
- VYMから出た配当金を毎年NISAに移して、インデックスファンドを買い増し
- 特定口座のVYMはそのまま保有して、長期で元本も育てる
「特定口座を非課税枠の供給源にする」という発想です。 配当が毎年出るので、NISAの非課税運用を継続的にサポートできると考えました。
結果:想定外に元本が大きく値上がりした
VYMを買って数年運用してみて、想定とは少し違うことが起きました。
想定通りだったこと
- 毎年安定した配当が出た
- その配当をNISAに移してインデックスを買い増せた
想定以上だったこと
- VYMの元本そのものが大幅に値上がりした
- 結果として、投資した金額が当初想定より大きく育った
これ自体は嬉しい誤算なのですが、ここで新しい問題が出ました。
元本が育ちすぎて「配当利回り」が悪化した
VYMの配当利回りは「買った時の株価」に対して計算されます。 当初は配当利回り3%で買ったとしても、株価が大きく値上がりすると、評価額に対する利回りは下がるのです。
例えば:
| タイミング | 株価 | 評価額 | 受取配当 | 評価額に対する利回り |
|---|---|---|---|---|
| 購入時 | 100ドル | 100万円 | 3万円 | 3.0% |
| 値上がり後 | 150ドル | 150万円 | 3万円 | 2.0% |
評価額に対する利回りが悪くなると、**「同じ額を別の運用に回した方が効率的では?」**という疑問が湧きます。 特に、新NISAの非課税枠が空いていて、そこにインデックスファンドを入れた方が長期では有利だと考えると、VYMを保有し続けるメリットが相対的に薄れてきました。
税金を払って売却→NISAでインデックスに買い替え
最終的に、VYMを一度全部売却して、その資金でNISA枠のインデックスファンドを買い直すという決断をしました。
売却で発生したコスト
特定口座での売却は、利益に対して約20%の税金がかかります。 ただし、
- 売却益が大きく、税引き後の手取りも十分大きい
- そのお金で新NISAの非課税枠を埋められる
- NISAなら今後の値上がり・配当が全額非課税
という観点で、**「税金を払ってでも非課税枠に移す方がトータルでお得」**という判断ができました。
結果:NISA枠を1年分埋めるだけの利益が出た
最終的に、特定口座のVYMの元本+値上がり益+これまで受け取った配当を合計したお金で、
新NISAの年間投資枠(360万円)を1年分丸ごと埋められる
ところまで来ました。
種銭を作るためにVYMで運用していたら、当初想定よりも大きな成果として戻ってきた——というのが結果です。
今振り返って「少し筋が悪かった」と思う点
成果としては良かったのですが、戦略としては少し筋が悪かったと思っています。
1. 配当には税金がかかる
特定口座でもらう配当は、約20%の税金が天引きされます。 「配当を再投資する」戦略は、その都度税金で2割削られるということでもあります。 税効率を最優先するなら、配当を出さない・内部再投資する投資信託の方が有利でした。
2. 売却時の税金がもったいない
最終的に売却することになった結果、評価益にも約20%の税金がかかりました。 最初から「特定口座でインデックスファンド(オルカン等)を買って、ただ持ち続けるだけ」にしておけば、売却タイミングを自分でコントロールできました。
3. 結果論としては「VYMでよかった」が、必然ではなかった
VYMの元本が大きく値上がりしたのは、米国市場全体が好調だったからです。 これはあくまで結果論で、最初から想定できたことではありません。 S&P500やオルカンを買っていれば同様の上昇は得られたわけで、VYMである必然性は実はそこまで強くなかったのです。
もし今同じ状況なら、どうするか
新NISA開始時に戻れるなら、私はこうします。
案A:特定口座でもオルカンを買う
特定口座でも、買うのはオルカンや S&P500のインデックスファンドにします。
- 配当は内部で再投資される(外に出ないので、その時点での税金がかからない)
- 売却タイミングは自分で決められる
- NISAに移す時に、必要な分だけ売却する
これが税効率としては最も良い選択肢です。
案B:VYMを使うなら「ずっと持つ」前提で
もしどうしても高配当ETFが欲しいなら、VYMは売却する前提では持たない方が良いです。 配当をそのまま生活の足しにする、という割り切った使い方なら、税金を払いながらでも持ち続ける価値があります。
我が家の今の方針
実際、インデックス積立をある程度終えた今は、配当目的で日本株の高配当株にも手を広げ始めています。 これは「現在の生活をすこし楽にする目的」なので、目的が当時とは違います。
→ 楽天経済圏とSBI経済圏、どっちを選ぶ?両方使い分ける我が家の答え
種銭づくりで意識したい3つのポイント
私の経験から、これから新NISAの種銭を作る方に伝えたいことを3つだけ。
1. 現金で寝かせるくらいなら、特定口座でも投資する
長期投資の前提に立つなら、現金のまま3年寝かせるのは確実に機会損失です。 特定口座でも、税効率の良い商品を選んで運用に回す方が、トータルでは得になりやすいです。
2. 商品選びは「税効率」を最優先
配当が出るか出ないか、内部再投資か分配型か。 特定口座で運用するなら、配当を出さない投資信託(インデックスファンド)が一番有利です。 高配当ETFは魅力的ですが、課税口座で持つと利回りが目減りします。
3. NISA枠の「埋め直し」を計画に組み込む
特定口座で運用していても、NISA枠が空いたら売却して移す判断が必要になります。 売却タイミングを意識した上で、**「いつ売却するか」「どのタイミングで税金を払うか」**を最初から計画に入れておくと、後悔が減ります。
まとめ
- 新NISA開始時、3年分の満額に近い手元資金があった
- 年間枠から溢れる分を 特定口座でVYM(米国高配当ETF) で運用
- 配当をNISAに再投資して、非課税枠の原資にする計画
- 結果、VYMの元本が大幅に値上がりし、NISA枠1年分を埋めるだけの利益が出た
- 想定外に良い結果になったが、戦略としては少し筋が悪かった
- 今同じ状況なら、特定口座でもオルカンを買う方が税効率は高い
「特定口座は損だから現金で持つ」という選択肢も、「とりあえず何でも投資に回す」という選択肢も、どちらも極端だと思います。 「税効率の良い商品で、特定口座でも長期運用する」——これが、新NISAの非課税枠を活かしつつ、機会損失を最小化する現実解だと感じています。
我が家の経験が、新NISAの種銭づくりで悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。
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