賃貸と購入、30年でいくら違う?|金利1.5%・修繕込みで組み直した我が家の試算
賃貸と購入は30年でいくら違うのか。金利1.5%・修繕費を内訳で積んだ我が家の試算では、実質負担は購入 約5,540万円・賃貸 約4,200万円でした。差を広げたのは土地の値上がりではなく金利と修繕費。前提と計算を全部公開します。
この記事でわかること
賃貸と購入では、30年でいくら違うのか。我が家はこの数字を、自分たちで組み直しました。
「賃貸は損」と「持ち家は負債」。どちらの意見もネットにあふれています。読み比べているうちに気づいたのは、前提が違えば結論も逆になるということでした。だから我が家は、自分の前提で計算することにしました。
先に結論
- 金利1.5%・修繕費込みの前提で、30年の実質負担は購入 約5,540万円・賃貸 約4,200万円だった
- 差を広げた変数は、土地の値上がりではなく金利と修繕費だった
- 答えは前提で変わる。この記事は我が家の前提と計算を全部見せます
数字だけ受け取っても意味がありません。どんな前提を置いたか、どこで結論がひっくり返るかまで書きます。
✓この記事でわかること
我が家が30年の比較試算を作った理由
まず、なぜ自分で計算したのかを書きます。
本気で買うつもりだったから、感覚ではなく数字で決めたかった
我が家は実際に物件を探し、値引き交渉まで進めていました。冷やかしではありません。
だからこそ、「なんとなく高い気がする」で判断したくありませんでした。数十年の返済を背負うかどうかの話です。感覚ではなく、数字で納得してから決めたかった。
AIに条件を渡して比較表を作り、金利上昇と修繕費を踏まえて組み直した
最初はAIに条件を渡して、賃貸と購入の比較表を作りました。
ただ、最初の表は前提が甘いと感じました。金利は低めに置かれ、維持費もざっくりでした。そこで金利を上げ、修繕費を内訳で積み直して組み直したのが、この記事で公開する試算です。
ネットにシミュレーション記事っていっぱいあるよね。自分で作る意味あるの?
試算の前提と結果|30年・モデルケース
ここから数字です。前提から順に出します。
前提:4,800万円の物件・変動1.5%・維持費は内訳で年30万円
置いた前提はこうです。
| 項目 | 前提 |
|---|---|
| 物件価格 | 4,800万円(モデルケース) |
| 頭金・諸費用 | 頭金300万円+諸費用500万円 |
| 借入 | 4,500万円・35年・変動1.5% |
| 固定資産税 | 年12万円 |
| 火災・地震保険 | 年5万円 |
| 日常の維持・設備更新 | 年15万円(給湯器・エアコン等の引き当て) |
| 大規模修繕積立 | 年10万円(外壁・屋根の修繕2回+αで30年300万円) |
| 住宅ローン控除 | 280万円 |
| 30年後の土地・建物の残価値 | 2,000万円(仮定) |
| 賃貸側 | 家賃11万円モデルで30年累計 約4,200万円 |
維持費は合計で年30万円ですが、あえて内訳に分けました。ここを一括で「年20万円くらい」と置くと、実態から離れると考えたからです。
結果:購入の実質負担は約5,540万円、賃貸は約4,200万円
この前提で計算した、購入側の内訳です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月々の返済 | 約13.8万円 |
| 返済累計(30年) | 約4,960万円 |
| 頭金+諸費用 | 800万円 |
| 固定資産税(30年) | 360万円 |
| 保険・維持・修繕(30年) | 900万円 |
| 住宅ローン控除 | −280万円 |
| 支出累計 | 約6,740万円 |
| 30年時点のローン残債 | 約800万円 |
| 残価値2,000万円−残債800万円 | +1,200万円 |
| 実質負担 | 約5,540万円 |
賃貸の30年累計は約4,200万円。差は約1,340万円で、この前提では賃貸のほうが負担が軽いという結果になりました。
この試算には、5つの留保があります。
- これは仮定に基づく計算で、将来を保証するものではありません
- 変動金利を全期間1.5%一定と置いた簡略化をしています
- 維持費の内訳は仮置きで実測ではなく、築年数・地域・建物で大きく変わります
- 土地の残価値2,000万円は、読めないものに仮の数字を置いたにすぎません
- 控除280万円も概算です
この修繕費の行が示しているのは、構造の違いです。賃貸なら大家が負担する修繕費が、持ち家では全部自分に乗る。これは金利のように動く変数ではなく、最初から決まっている差です。
我が家の実際の家賃は8.4万円。実際の差はさらに開く
なお、この試算の賃貸側は家賃11万円のモデルです。
我が家が実際に払っている家賃は、月8.4万円です。固定費を抑えるために、家賃の安い賃貸を選んでいます。つまり我が家の実際の条件で計算すれば、差はさらに開きます。
変数には序列があった|試算を動かしたのは金利と修繕
この試算で一番の発見は、金額そのものより「どの変数が効くか」でした。
金利が0.7ポイント上がると、差は約600万円開いた
当初の試算は、金利0.8%・維持費を一括で年20万円・土地1,800万円という前提でした。このときの差は約400万円です。
そこから金利を1.5%に上げたところ、差は約600万円広がりました。利息の増加分は、土地を200万円上振れさせても埋まりませんでした。
修繕費を内訳で積み直すと、さらに約300万円開いた
次に、維持費を内訳で現実的に積み直しました。保険・日常の維持・大規模修繕を分けて置き直した形です。
これで差はさらに約300万円広がりました。ざっくり一括で置いていた頃には見えていなかった負担です。
土地を200万円高く見積もっても、埋まらなかった
結果として、差は約400万円から約1,340万円へ広がりました。
この試算を動かす変数の序列は、金利>修繕>土地でした。土地の値上がりに期待して200万円上振れさせても、金利と修繕の増加を埋められなかったのです。
正直に付け加えると、現在の金利環境では1.5%でもおそらく低めの見積もりだと思っています。ここがさらに上がれば、差はもっと開きます。
期間の取り方で、結論の見え方は変わる
ただし、この結論には大きな条件が付きます。「30年で切ったら」という条件です。
30年で切ると、賃貸が有利に見える
ここまでの試算はすべて30年時点での比較です。
30年時点では、まだローン残債が約800万円残っています。修繕費も30年分を払い終えたところ。この時点で線を引くと、賃貸のほうが負担が軽く見えます。
生涯(95歳まで)で見ると、土地が残る分だけ差は詰まる
前提を変えた別の試算も作りました。
期間を95歳までの約60年に延ばした試算です。固定金利、住宅ローン控除ゼロという保守的な設定で、大規模修繕も明細で計上しました。この生涯で見る試算では、土地が資産として残る分だけ、購入のほうがやや有利という結果になりました。
同じ我が家の家計でも、期間の取り方で結論が変わったということです。
どちらが正しいかではなく、「いつ時点で比べるか」の問題
30年の試算と生涯の試算、どちらかが間違っているわけではありません。
購入は、ローンを払い終えた後に土地と建物が残ります。その価値を数える時点まで待てば、購入が有利に見える。逆に、まだ返済中の時点で切れば、賃貸が軽く見える。「どちらが得か」の前に、「いつ時点で比べているか」を確認する必要があるということでした。
まとめ|マイホームは住まいであり、不動産投資でもある
この試算を通して、我が家がたどり着いた見方があります。
30年後の土地の評価額は、誰にも読めません。にもかかわらず、購入が得かどうかはその読めない数字に大きく左右される。つまりマイホームには、不動産投資の側面があるということです。住まいを買うと同時に、数十年後の不動産価格に賭けている面がある。
我が家はそこで、読めない変数に人生を賭けないという判断をしました。当面は賃貸で暮らしながら資産形成の土台を作る。この方針の全体像は我が家が「20年後に一括購入」を目標にした理由|モデルハウス交渉から降りて決めたことに書いています。
これは「賃貸が正解」という結論ではありません。生涯で見れば購入が有利になる試算もありましたし、住まいは損得だけで決めるものでもない。ただ、自分の前提で計算してみると、何に賭けているのかが見えてきます。この記事の数字ではなく、前提の置き方を持ち帰ってもらえたら嬉しいです。